ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



『さ、祐希と後ろ、乗れな。』


結局、休憩のために停まったパーキングエリアでコーヒーを飲んでから再び車に戻った。


「だってナオフミさん、夜勤明けで疲れてるんじゃ・・・」


涙目で首を小刻みに横に振りながら運転席のドアの前に立ちはばかった伶菜。


『アヒル口《ぐち》になってるぞ。』


「なってませんって!!!!!!!」


なってるぞ、アヒル口《ぐち》
そこも・・・カワイイんだけどな



『ナビの目的地とか探らないから、ナビ通りに運転するから。』


「絶対、ナビ触らないで下さいね!!!!!!!絶対ですよ!!!!!!」



ここは静岡と神奈川の県境あたりにあるパーキングエリア


「どこに着くかは、お楽しみ・・・っていうコトで・・・・」




ナビを触らなくても、目的地までの残りキロ数で
なんとなくイヤな予感がするんだが

しかも“お楽しみ”という声が
なんだかお楽しみに感じられなかったのは
俺の気のせいか?

ま、なんとかなるだろ

いや

なんとかしてみせる



『わかった。んじゃ、コレでも食って寝てもいいぞ。』


「寝ませんよ・・・っていうか、アメリカンドックだ♪祐希も食べる?」


「たべる、たべる」


「じゃ、お言葉に甘えて運転お願いします♪あっ、コレ、揚げたて♪」



彼女が醸し出す柔らかい空気に
俺は充分に満たされた気持ちになるから



だから俺は
なんとかしてみせる


ここから先、起こるであろう出来事は
彼女がきっと勇気を振り絞って俺にくれたチャンスだから・・・・


もう手離せないから
今度こそ手離せないから

とても弱そうで俺と同様に不器用だけど
本当はとても芯の強い彼女を・・・・


俺にとって
たった一人の
愛しい人



伶菜を・・・・・



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