ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来


私の気のせいかもしれないけれど、やや緊張してそうな、早紀さんの声。


「ただいま。冷えてきたから、早く上がりなさい。」


それとは対照的にニッコリと微笑んで手招きをした日詠先生。


『ハイ。お邪魔しますううう』


それに釣られるように私はナオフミさんよりも先に日詠先生宅に上がってしまった。
急いで後ろを振り返った私の背後では、祐希がナオフミさんに靴を脱がせてもらっていた。



『ごめんなさい。靴・・・』



どうやら一人浮き足立っていた私。


「・・・気にするな。・・・・・靴、デカくなったな。祐希の。」


こんな時もナオフミさんはマイペースみたいで。
彼は早紀さんのコトを全然気にかけていないようにも感じられた。


それはそれでいいようなよくないような・・複雑な心境・・・



「・・・・・よかったら食事できてるので、召し上がって。」


『えっ!!!!!』



背後から聞こえてきた早紀さんらしき女性の声に私は思わず声を上げた。


『あっ、あの・・・高梨伶菜です。あの、コレ、祐希です。』



以前名古屋で早紀さんにもお会いしたことは今日の今日までナオフミさんには打ち明けていなかった。
だから“お久しぶりです”とか“ご撫汰さしております”という当たり前の挨拶ができなくて。

しかも、早紀さんが祐希の小児循環器科担当医であることもナオフミさんに打ち明けてなくて。
きっと彼は早紀さんが小児循環器科医師として従事していることは知らないと思ったから。

だからこんな不自然な挨拶になってしまったのだけれど。



「えっ、あ、どうぞ。こちらへ。」


早紀先生、いや早紀さんも一瞬不思議そうな表情を浮かべたけれど。
そこはさすがの早紀さんで、私の頭の中をすぐさま理解して下さったようだった。



「尚史も、上がって。」


「・・・・ええ。お邪魔します。」


「久しぶりね・・・・元気にしてた?」


「・・・・ええ。おかげさまで。」



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