ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
『・・・・・・・・・』
「伶菜さん?」
『あっ、ハイ』
「呼続出口、降りるけど・・・」
美咲さんのトラブルについて入江さんに直接聞いてもいいものか迷っていた私に、電話をするよう促すような入江さんによる声かけ。
車は福本さんの家に向かって走ってしまっているから
トラブルの詳細を入江さんに尋ねるよりも
真里に電話をするほうが優先だ
『もしもし、真里?』
「伶菜? 呼続まで来た? じゃ、電話はそのままで、道順言うから、私の言ったことを呟いて運転手に伝えて!」
『わかった。』
そして私は真里と入江さんを繋ぐ電話交換手兼道ナビとなった。
真里の道案内は早めの指示が徹底されており、それを伝える私の呟きに入江さんは戸惑うことなく順調に車を走らせていた。
そして、
「次の交差点左折して2つ目の家、玄関の門戸の足元に親子雪だるまのピックが刺さっている一戸建てが福本さんちだから。」
『次の交差点左折して、2つ目の家・・その先なんだっけ?』
「玄関に親子雪だるまのピックが刺さっている家。」
最後のキーワードを聞き落としてしまった私に
もう一度その言葉を丁寧に繰り返してくれた真里。
『親子雪だるまのピックの家』
即座に呟いた私。
「雪だるまね、了解!」
そして、私の隣で復唱した入江さん。
最後のナビ伝言はちょっぴり怪しかったが
私は伝言役をちゃんとこなし、無事、祐希と真里が待っている福本さんの自宅に到着した。