ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Hiei's eye カルテ5:言えないコトバ


【Hiei's eye カルテ5:言えないコトバ】



「ごめんね。間接的だったけど呼び出しちゃって。」

『いえ、仕方ないです。』

「奥野先生も駆け付けてくれたけど、取りつく島もない感じで・・・」

『視野が狭くなってたんですかね。美咲。』


入院患者のところへ行ってしまった美咲を後ろ姿を確認した俺は、とりあえず病院を不在にしていた昨日から今日にかけての担当妊婦の経過をカルテで確認し始めた。

その最中、声をかけてきた福本看護師長。


「ナオフミくん、美咲先生の指導医だっけ?」

『指導医は奥野さんだけど、俺はアシストに入っています。』

「そうなんだ。でも、あんなにナオフミくんの存在にこだわるって、美咲先生に何かしたんですか?日詠センセ?」

『は?』

「美咲先生に、手、出したりしていませんよね?」


こういう話題、いつもは面白そうに話す福本さんのはずだが、
今日はなんだか冷たい空気を漂わしている。


伶菜がからむとこの人も結構厄介
ここの病院の産婦人科医師だった伶菜の父親のことを尊敬してやまないこの人
それもあって伶菜は自分の娘ぐらいに想ってくれているから

そんな人に
俺、疑われてるのか?


『出していませんよ。そういう人間に見えます?俺。』

「ハイっ!ナオフミくんの医大生時代の噂・・・女子学生百人斬りしたっていう噂、聴いたことあるのよね~」


百人斬りって
どうやったらそんな噂が広がるんだ?

実際に百人も付き合ってないぞ、俺は
でも、奥野さんには、女の子泣かせるの、いい加減にしろって怒られたことはある


それでも俺は百人斬りとか
そこまで節操がないわけではないと思うんだが


『・・・百人は斬ってないです。』

「じゃあ、50人!」

『してませんよ。多分。』


伶菜の身近にいることが多くなったこの人にも変な誤解されたくない
だから過去の話は否定する


「美咲先生。男の子と遊ぶことなんて眼中になく医学に邁進してきていそうなタイプだから・・・危ない男とか知らないはず。ダメよ。もて遊んじゃ。」

『しませんよ。もて遊ぶなんてこと。」

「もし、そんなことしたら、伶菜ちゃんに言うから!!!!」


俺はただ、美咲のことを助けて欲しいから帰ってこいという依頼を受けて
伶菜を浜松に置き去りにしたまま、大至急、名古屋へ帰ってきただけなんだが





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