強引な政略結婚が甘い理由~御曹司は年下妻が愛おしすぎて手放せない~
「真夜こそありがとう。私と、結婚してくれて」
そう呟いた明の肩が小刻みに震えている。
俯いているから表情はよく見えないけれど、たぶん泣いている。
そんな明の肩をそっと抱き寄せようとした俺の手は、不意に明が体勢を変えたことで彼女に届くことなく空を掴んだ。
明は、近くに置いてあるカバンへと手を伸ばすと、そこから何かを取り出す。
それを見た瞬間、俺は思わず目を見開いて、身体が固まってしまった。
「遅くなったけど、誕生日プレゼント」
そう告げた明が俺の左手首に着けたのは、七年前に俺が明に預けたあの腕時計だった。
「私が、ずっと持っていたんだね。返すの遅くなってごめんね」
「……もしかして、思い出したのか」
静かにそう問いかけると、明はゆっくりと頷いた。
その瞬間、俺は明の手を引いて、その身体を自分の腕の中へと閉じ込めた。力いっぱい抱き締めると、腕の中の明が震える声で俺に伝えてくる。