会長候補はSweets☆王子!?
 更に彼女の分析は続く。

「……池永君がもし、『男女交際の解禁』という大それた公約を発表した場合、既存の校則や学校内の決まりに縛られることに反発心を抱く層が、一致団結する可能性が高い。
 そうなれば、勝ち馬に乗ろうという集団心理が働いて、彼の従来の知名度・人気との間に一種の相乗効果がもたらされるはず」


 客観視したリアリズムに基く判断力・分析力に、俺は正直舌を巻いた。


(西村姫子……さすがは、塚本会長の『後継者』を自負しているだけある)


「難しいことは、亜美菜全然分からないけど、じゃあ、姫と池永君の二人が一騎打ちしたら、どっちが勝つのかなー?」

「決まってるでしょ? 私よ。
 40パーセントの潜在的投票率は、公約を相対評価してもらえれば、きっと30パーセントにまで落ち込む。
 そして、選挙戦終盤の立会演説会でのディベートで、彼の敗北は事実上動かなくなるわ」


 西村姫子の瞳の輝きは、どこかゾクッとするものをたたえていた。

 自信と執念、そして、ほんのわずかだが垣間見れる『攻撃性』を含んだ光。
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