会長候補はSweets☆王子!?
「寝たの?」


『……いや、今真希ちゃんに言われたことを、俺なりにないアタマで考えてみたんだ』

「で?」


『いいじゃん。大人になって痛い目見ても。何か失敗しても。
 そういうの全部ひっくるめて《大人になる》ってことじゃねえの?』


 予想と違う答えが返って来たので、今度はあたしが返答に困った。


『俺さ、ばあちゃんっ子だったから、閉店したじいちゃんとばあちゃんの和菓子屋、せめてばあちゃんが生きてる間に再建したいんだよね。
 それで、俺の考案した和と洋のいいとこ取りのスウィーツ、店で看板メニューとして売り出すんだ』

 どうして、そんなに過酷な夢を、こんなに明るく嬉しそうに話せるんだろ?


『父ちゃんも母ちゃんも、俺が生まれてすぐに交通事故で死んじゃってから、残された家族は入院中のばあちゃんだけになっちまった。
 だからさ、ハッキリ言って、俺一人ぼっちになるのはもう時間の問題なワケよ。嫌でも、俺大人になるしかねえんだよ』


 あたしは、全然想像もつかないけど、たった一人で働いて、お金を貯めて、そして限られた期間内に夢を叶えるってことを、このいつもチャラチャラしてる池永君が考えて、実践してたなんて。
< 321 / 390 >

この作品をシェア

pagetop