夢の中の世界
では誰に……?


「まさか、先生に没収されたとかじゃないよね?」


真弥が貴央へ向けてそう聞いている。


「そんなこと今まで1度もなかっただろ。それに今は教室から出られない緊急事態なんだ。スマホがないと、助けも呼べない!」


貴央は焦っているようで早口になっている。


でも、ないものはないのだ。


あたしは自分のスマホを探すのをやめて、机の中を確認してみることにした。


スマホか、もしくはなにか他に役立つものが入っていないかと思ったが、机の中は空っぽだった。


「あれ……?」


「どうしたの珠?」


恵里果が隣に近づいてきて、あたしと同じように机の中を確認した。


「教科書がなくなってるの」


宿題に使わない教科書はいつも置いて帰っているのに、おかしい。
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