夢の中の世界
「俺のスマホもない!」


青ざめた顔で叫んだのは吉之だった。


そんな吉之を見てすぐに恵里果が駆け寄っている。


「俺のスマホもない」


「私のもないよ」


次々にそう声を上げる生徒たち。


いくら学校でスマホが禁止されていたとしても、今のご時世なら大抵持ってきているものだ。


なにより、紫陽花高校では放課後になればスマホの使用許可が出るので、全員持っていても不思議ではなかった。


それが1台も見当たらないなんておかしい。


誰かに取られたとしか考えられなかった。
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