夢の中の世界
あたしは震える手で手紙を受け取り、ゆっくりと開いていく。


なにが書かれているのか少し怖かった。


《いつかまた珠に会いたい。その時は本当の友達として》


恵一が保管してくれていた手紙には、そう書かれていた。


とても短くて、でもホッとする言葉。


恵里果の丸っこくて可愛い文字で、見間違いようがなかった。


それを何度も繰り返し読み直した後、あたしは滲んで来た涙をぬぐい手紙をギュッと抱きしめた。


「恵一のお父さんは?」


「無事に釈放されたよ」


「そう……」


あたしはホッとして息を吐きだした。


恵一のお父さんはなにも悪くなかったから、それが気がかりだったのだ。
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