夢の中の世界
確かに、そんなことをする暇があるなら、出口を探したかった。


けれど、恵一の考えも理解できる。


よく知らない相手とここに隔離されているというのは、不安だった。


特に1年生の2人とは面識がない。


相手から積極的に話しかけてくれるから悪い子ではなさそうだけど、信用できるかどうかわからなかった。


「恵里果。恵一の言う通りにしよう」


あたしがそう言うと、恵里果が一瞬舌打ちをしたように聞こえた。


え……?


あたしは目を見開いて恵里果を見つめる。


しかし恵里果はいつもと変わらない表情で、少し青ざめた顔で恵一を見つめている。


気のせい?


恵里果じゃなくて、他の誰かだったかもしれない。


あたしはそう思い直し、視線を恵一へと戻した。
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