夢の中の世界
近くにいた真弥がそう声をかけながら近づいて行く。


そしてドアに手をかけた瞬間、表情が変わった。


真弥の眉間に深くシワが刻まれ、次第に汗が滲み始めたのだ。


「嘘だろ…本当に開かない!」


真弥の言葉にあたしと恵里果は目を見合わせた。


恵里果は不安そうに、胸の前で手を握りしめてまるで祈るような体制になっている。


「な?開かないだろ?」


貴央はそう言い、真弥が2人がかりでドアを開けようとする。


しかし、ドアはびくともしないようだ。


「鍵がかかってるんじゃないか?」


2年C組の吉之がそう言いながら2人近づいた。


「鍵なんてかかってない」


貴央がドアから身を離してそう言った。


「本当だ。なのに、どうして開かないんだ?」


吉之は首を傾げてドアに手をかけ、ガタガタと揺らしてみている。
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