夢の中の世界
毎日のように使っている教室のドアなのだから、突然立てつけが悪くなって開かなくなるなんてことは考えられない。


あたしと恵里果は不安を抱え、同時にドアに駆け寄っていた。


気が付けば、体の痛みは随分とマシになっている。


それは良かったものの試に自分たちで確認してみても、ドアはビクともしなかった。


他の生徒たちが後方のドアや窓を開けようとしても、やはり動く気配はない。


「どうなってんのこれ」


真弥が目に涙を浮かべて言う。


いつもと何かが違う状況に、早くも心が砕けてしまいそうなのかもしれない。


「大丈夫。きっと開くから」


真弥の隣で貴央が気遣っている。
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