手招きする闇
20 放課後 三年五組教室内
  
理子「借りて来たわ」
       
 理子、机の上にアルバムを置く。
  
哲司「よし、それじゃ調べようか」
      
 哲司、卒業アルバムの三年三組中沢真佐子の写真を探す。
  
哲司「あった。この人だ」
      
 真佐子は色白で目のぱっちりした美人だった。
  
俊樹「立花さんは、このアルバムには載ってないんだろうね」
  
理子「そうね。亡くなったのは、前の年の春だったから」
       
  哲司、アルバムの最後に書いてある卒業名簿に目を通す。
  
哲司「あったよ。中沢さんの住所と電話番号」
理子「よし、掛けてみる」
       
 理子、鞄の中から携帯を取り出す。
 程なく呼び出し音。相手が出る。
  
理子「あの、わたくし東条高校三年の三谷と申します。突然のお電話ですみませんが、真佐子さんおられますでしょうか?」
       
 電話に出たのは真佐子の母親。
 彼女は結婚して、現在隣町に住んでいる。
 理子、適当な口実を考え、彼女の電話番号を教えてもらい、真佐子に電話。
  
理子「初めまして。突然のお電話ですみません。わたくし東条高校三年の三谷理子と申します」
       
 理子、彼女にこれまでの経緯を話す。
 彼女に当時三年五組だった教室に来てほしいと告げる。
 話を終え、電話を切る彼女。

哲司「理子、彼女何だって?」
理子「すぐには来れないって。でも、考えてみるそうよ」
哲司「そっか。来てくれるといいな」
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