手招きする闇
21 一年三組教室内
      
 残っていた晴香と合流。
 他の生徒の姿は無し。

理子「立花さん、出て来てもらえますか?」
幽霊「やあ」
理子「真佐子さん、見つけました」
幽霊「ホントに?」
理子「はい。彼女、結婚して隣町で暮らしています。お子さんも二人いらっしゃいました」
幽霊「そうか。彼女、幸せに暮らしているんだね。それがわかっただけでも嬉しいよ。これで、安心してあっちの世界に行ける」
理子「立花さん、もう少し待ってもらえませんか?」
幽霊「えっ?」
理子「今すぐには気持ちの整理がつかない様子でしたが、彼女きっと来てくれます」
幽霊「理子ちゃん・・・」
理子「だから、もうしばらくここに居てもらえませんか?」
幽霊「わかった。そうしてみるよ。だけど、もう僕は満足している。たとえ彼女が来てくれなくても、もうこの場所から出て行けるよ」
理子「わかってます」
       
 立花、とてもいい顔で窓の外を眺めていた。
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