美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「ミカは確かに元カレといえるのかもしれませんが、普通の元カレとはちょっと違うっていうか・・・」

歯切れの悪い瑠花の言葉に、朔也は苛立ち、責め立てそうになるがここはグッと我慢だ。

「普通じゃないって・・・まさか身体だけの・・・」

「違います!ミカとはそんな関係ではありません。キスしかしたことはないし・・・」

゛キスはした゛という聞き捨てならない言葉に朔也の頭の中は沸騰寸前だが、ここでまさかのプラトニックラブの可能性も出てきた。

プラトニックラブなんて、セフレよりもある意味厄介。

「じゃあ、プラトニック・・・」

「違いますって、契約です。契約。珍しいオッドアイに近寄ってくる輩を黙らせるために、ある時期、お互いに彼女と彼氏のフリをしていただけで・・・」

「じゃあ、何でキス・・・」

「それは当時、しつこくミカを追いかけていたストーカー女子に見せつけたいから協力してくれって、ミカが・・・」

゛そんな都合のいい言い訳があるか!゛

と、ここでも朔也の怒りゲージはMAXを越えるが、瑠花を怖がらせてはここまでの努力が水の泡。

朔也は敢えて沈黙で瑠花の言葉を促す作戦をとった。

「・・・1回だけ、それだけです。付き合ってるフリをしたのも3ヶ月だけだし。オッドアイ同士ってある意味シュールな外観なんですよね・・・。想像以上に人目を引くと言うか・・・。だいたいあんな女ったらし、私は好きではありません。あっ、親友としてなら好きなことに間違いないけど・・・」

瑠花に親友認定されていることをいいことに、瑠花の唇まで奪った゛節操なし王子゛。

瑠花の元カレでもなく『今後もミカと付き合う気はない』という瑠花からの言質をとることが出来たのは朗報だったが、確実に朔也の中でミカは゛排除すべき人物゛認定された。

「瑠花はそう思っていてもミカは違うかもしれない。再会を機に、瑠花と本物の恋人になりたいと思っているかもしれないぞ?」

どさくさ紛れに瑠花の美しい髪に顔を埋めてキスをしてみる。

唇に伝わるサラサラとした感触に、アプリコットと柑橘系の甘くて爽やかな香りが漂い何とも官能的な気分になる。

瑠花の渾身の新商品第2弾は゛男をその気にさせる魅力的な効果がある゛と高く評価されてしかるべきだろう。

「・・・そうなんですよね。昔から冗談混じりに口説かれてはいたんですけど、今回はマジっぽくて・・・」

カマをかけたつもりがまさかのビンゴだった!

< 119 / 164 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop