美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「私の情報収集能力を馬鹿にしてもらっては困る。そのために行きたくもない接待に行っているんだ。藤川の悪行についても把握している」

藤川和也、35歳。

仕事ができて無駄口を叩かず黙々と働くと評判の営業係長。

人事部の評判は上々の男だが、副社長の評判は違うらしい。

「あいつは仕事ができないだけでなく、セクハラ、モラハラ、やりたい放題だ。全く・・・許せん」

゛お前が言うな゛

と朔也は思ったが、まだ口にはしない。

捕獲の時期を待つ捕食者のように鋭い視線で、朔也は目の前の阿呆狸を見つめた。

「へえ、例えばどんな?」

「私の嫁、浅子の妹である心晴ちゃんに手を出している。ベタベタ触るだけでは飽きたらず、二人きりになるのを強要したりしているんだぞ?私ですらそこまではさせてもらえないのに・・・」

本音を漏らしているのにも気づかずに、相変わらず大福を貪る直人はおそらく馬鹿に違いない。

そんな事を思いながらも、朔也は待ち人の到着を待った。

「藤川さんはセクハラなんてしてません」

直人の大声を聞いたと同時に社長室に入ってきたのは、狭間心晴と、愉快な面々(浅子、狭間部長、但馬課長)、狭間グループオールスターだった。

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