美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「心晴、セクハラとは何の事だ?藤川が何かしたのか?パパに言ってごらん?懲らしめてやる」

心晴にベタ甘の狭間部長は、体をクネクネと揺らしながら甘えるように言った。

ただただ、ひたすら気持ち悪い。

「藤川さんと私は結婚前提でお付き合いしています。お互い同意のもとならセクハラとは言いませんよね?」

心晴の爆弾発言に、浅子と狭間部長が悲鳴をあげ

「ふ、藤川だと?あんな小物には心晴はやれん。とっとと別れなさい。お前には朔也君という立派な婚約者が・・・」

「そうよ。心晴ちゃんには穂積部長と結婚してもらわないと困るって何度もお願いしたでしょう?我が儘も大概になさい」

と叫んだ。

゛こんなやつらに゛そんな奴゛呼ばわりされる藤川が可哀想だな゛

朔也はそう思いながらも、勝手に進み始めた泥沼劇場をしばらく傍観することにした

「いいえ、私は藤川さんと結婚します。彼に被害が及ぶと思ってこれまで我慢してきたけど、実害が出たからには我慢できない!本当の事をリークします」

キッと睨み付ける心晴に一番ビビっているのは、そう、あの阿呆狸副社長、穂積直人だった。

「セクハラをしていたのはあの人。毎日毎日、人の肩やお尻を触って、好きだのなんだの囁いて・・・いい加減にして欲しいのは貴方よ、副社長!」

心晴の言葉に、直人だけではなく、狭間部長の顔も青褪める。

だが、浅子の顔だけは怒りで真っ赤に染まっていた。

「姉さんの夫だから我慢したわ。はじめは身内への愛情表現の一つなんだと思い込もうとした。でも違うの。この人は見境なく若い女子社員に・・・」

パシン、と平手を打つ音が社長室に響いた。

「ふっ、どうせあなたが誘惑したんでしょう?あの卑しい女の子供だものね」

心晴の言葉を遮ったのは、そう、

゛心晴の腹違いの姉゛である穂積浅子、その人だった。
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