美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
シャンプーの実演、頭皮チェックが終わると、穂積ソワンデジュブの最高級ヘアケアセットの試供品が手渡されることになっていた。

試供品とは言っても、実際に格安でお試しできるトライアル商品として販売しているものだ。

それが無料で手に入るのだから、ここに集うマニア達にとっては正に垂涎ものだろう。

店長、副店長、そしてシャンプーの実演をした美容師の3人が、希望者からヘアケア相談を受ければ今回のイベントは終了だ。

朔也も今回は参加者だが、実際には穂積堂のバイト生なので参加記念品は貰えないと固辞した。

しかし、店長は笑って

「彼女にでもあげなさいなよ。喜ぶわよ」

と、冷やかしながらグイグイと押し付けてきた。

ブランド物を欲しがる女はいるだろうが、朔也には穂積のヘアケア商品を渡したい彼女も、家業を知ってもらいたい女性もいなかった。

そう思いながら、朔也はフッと美髪の少女に目を向けた。

少し離れたところで副店長からトライアル商品を受け取り雑談をする彼女。

その目はキラキラしていて、少し潤んで見えた。

本当に穂積の商品が好きなのだと伝わってくる、そんな笑顔だった。

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