美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「うふふ、やっと見つけたラブちゃんだものね。デートの邪魔してごめんなさいね。それにしても・・・まさか、穂積ソワンデシュヴの凄腕研究者になって12年後に穂積堂を訪ねてきてくれるなんて夢にも思わなかったわ。灯台もと暗しね」

「全くです」

頷き合う湯川と朔也が口にする言葉の意味がわからない。

「ラ、ラブちゃん?」

瑠花をそう呼ぶのは、瑠花の母とイギリス人の祖父だけだ。

なぜ、この二人がその事を知っているのだろうかと、瑠花が不思議に思っていると

「フフ、朔也くん、付き合いだしてもまだ身バレをしていないのね。運命的🖤」

と、意味深に湯川が笑った。

朔也は湯川の言葉にも返事をせずに、じっと瑠花の右手を握ったまま離さない。

「ねえ、三神主任。12年前のあの日帰り際゛ラブちゃん゛に声をかけた男の子がいたでしょう?」

「?」

「ふてくされて再後尾に座って教室に参加していた大学生」

「あっ!」

瑠花は左手を口元にやり、右側の朔也をじっと見つめた。

゛眼鏡を外して、前髪を垂らして、それで・・・゛

・・・なんということでしょう!

当時、高校生の瑠花が、ほんのりとした甘い恋心を抱いた想い出の王子様。

湯川主任の残酷な?一言で、

ツンツンデレ甘王子(当時の瑠花目線)と、目の前の冷徹俺様イケメン眼鏡御曹司が、カッチリと音を立てて重なった瞬間、瑠花の中ではアルマゲドンが起こったぐらいの衝撃が走った。

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