初恋エモ

4






スタジオでクノさんと音を合わせてから、ミハラさんが通っている予備校へ向かった。


自動ドアが開くたびに、いろんな制服の生徒が出てくる。

みんな頭がいい人そうに見えた。

大学に行って将来ちゃんとした社会人になる人たちなんだ、きっと。


「そういえば、クノさんって成績どうなんですか?」

「一応、卒業できる程度にはやってる」


私は「へー」と何気ない返事をしたが、『卒業』の二文字が突き刺さった。


クノさんは卒業したら、どうするんだろう。

進学も就職もする気はなさそうだし、このまま音楽を奏で続けてくれると信じたい。


ちなみに私も学業は、留年しない程度にはやっている。

きっと成績はクノさんと似たような感じなんだろうな。


そんなことを考えていると、自動ドアが開き、ミハラさんが出てきた。

背負った楽器を揺らし、彼のもとへ駆け寄る。


「あ……」


私たちに気づいたミハラさんは、気まずそうな顔になり、視線を伏せた。

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