初恋エモ

「わ、私は全然大丈夫です。悩んでるヒマなんてないですし。今日でだいぶ充電できましたし。あ、もうすぐライブ始まりますよ、もっと前行きましょうよ!」


視線をそらしつつも、超絶早口で話題を変えた。

私が慌てた様子が面白かったのか、ミハラさんは口元に手を当てて笑った。


「……笑いすぎです」


恥ずかしくなり、低い声でそう伝える。

どうしよう、絶対顔が赤くなってる。


「ごめん、なんか可愛いかったから。じゃ行こうか」


え。え。え。今、なんて?


パニックになりつつも、人混みをすり抜けていくミハラさんを追った。


その後もライブを見たり、ミハラさんと手がぶつかってドキドキしたり、

と思ったら、ライブに集中してミハラさんとはぐれそうになったり。

楽しい時間を過ごすことができた。


それにしても、フェスってすごい。

たくさんのバンドやアーティストが出演して、それぞれが熱量のあるライブを繰り広げる。

お客さんもその熱量に負けじと盛り上がっていて、本気で音楽を楽しんでいる。

なんて幸せな空間なのだろう。


クノさんはフェスは見るものじゃなくて出るもの、って言っていたらしいけれど。

私もいつかあのステージに立てたらいいな。


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