蛍火に揺れる
ノリ君は手摺を挟んで隣、ドアの前に立っている。

そして扉が閉まる音がして、電車は動きはじめた。
ノリ君は心配そうに見つめているが…私は至って何ともない。あの電車に酔う感覚は何だったんだ?という感じすらする程。
数駅通過した所で、ノリ君も安心したらしく携帯電話をいじり始めた。


斜め前の座席には、子供連れの家族が居る。
お母さんの膝の上に小さな子供が座っていて、お父さんらしき人物が、その二人の前に立っている。微笑みながら、二人を愛おしそうに見つめている。


ー二人で居る時間はあと少し。

それが名残惜しいのは、私も感じている。
でも……こんな風に、三人で居る未来が待ち遠しいのも確かだ。


私達の未来はどんなのだろうか。

でもきっと……この三人のような幸せな未来が待っているはずだ。
そしてそんな未来は、きっとすぐそこにある。


だから……今を精一杯楽しもう。

私は電車の揺れに身を任せ、車窓から見える暗闇に浮かぶ光の点ートンネル内の光を追いかけながら、そんなことを思っていた。

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