蛍火に揺れる
ーそしていつの間にか、朝になっていた。
朝になっても陣痛間隔は狭まることはなく、十分おきの痛みに耐えていると知らぬ間に街が明るくなっていた。
結局一睡もできず、寝落ちしそうなところで痛みが走り目覚めるの繰り返し。
ノリ君も寝てればいいのに、痛みがくるたびに私の腰を押し、痛みが退くとお茶を差し出し…その結果、一睡もしていない模様。
午前中、モニター付けている間に一時帰宅して仮眠するように促したが、彼はシャワーを浴びただけでまたすぐに戻ってきた。
「寝ようとしたけど落ち着かない…」らしく、この人の体力は大丈夫なのだろうか……と心配の種になっている。
いや、それ以上に私の体力が持つのかが心配であるが……。
そろそろ入院して丸一日。
しかしまだまだ子宮口は半分の五センチと少ししか開いていない。
もうこれは帝王切開にしてもらえないかと言ってみてはいたが、これぐらいでは帝王切開にはできないらしい。
でも今朝から食事が喉を通らず、ただ体力だけが消費されて行っている状況。色んなものが限界に近い。
そして助産師さんから午後の内診の後、なかなか進まない私に「足湯をしてみますか?」との提案が。
「温めるとリラックスできるし、陣痛が進むと思いますよ」とのことなので、有り難く足湯をしてみることにした。