雪に咲く華


座っていたのは悩みの種の1人、落合くんだった。

確かに昨日そこは誰もいなかったけど!だからってなんで落合くんの席なの?!
しかも何気に名前呼びだし…。


「おはようございます」


なるべく話したくないからそれだけ言って視界から外す。それで放っておいてくれればいいものを。


「素っ気ねぇな。もうちょっと何か話すことねえわけ?」

「自己紹介なら昨日しました」

「そうじゃねぇだろ。もっとこう雑談とかあんだろ」

「ないですね。それに私じゃなくても話す相手なら沢山いると思います」


この人はクラス中から注目を浴びていることに気づいているんだろうか。これ以上変に目立ちたくないんだけど。

どうやってこの状況を切り抜けようか迷ったけれど、幸い先生が教室に来たおかげで話は中断となり、その後落合くんは授業中ずっと寝ていたので会話をすることは無かった。
察するにいつもサボっているのだろう。

昼休みには起きたみたいだけど私は早々に退散して一人で昼食をとりに行ったので会うことも無く、午後になっても彼は戻って来なかったので無事放課後を迎えることができた。

何事も無かったと油断していたのがいけなかったのだ。

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