雪に咲く華


「ま、これからどうするかはお前らに任せるよ。引退した俺たちがとやかく言うことでもないしな。それよりも」

「実は葵を呼んだのはもう一つ、大事な話があったからなんだ」


今まで黙って話を聞いていた雅輝さんがパソコンの画面をこちらに見せて、一際険しい表情になる。


「ヤツが動き出した」

「っ...」


あいつが?私の仲間を傷付けた、心も身体もボロボロにしたあいつが?


「藤崎隼人。あいつは新たに族を作り、現在は関東No.2の座にいる。ここまでは知っているな?」

「はい」

「どうやらまだお前にご執心らしくてな。今度は双龍を潰す気のようだ。文字通りどんな手を使っても、な」


忍さんが今この話をしたのは、きっと私に考える時間をくれるためだ。怒りに任せて動かないように、冷静に判断できるように。

やっぱり2人とも優しいなあ。でも、








「双龍は、守ります。必ず」








私の心はとっくに決まってる。だってそのために私はここに来たんだから。

忍さんも雅輝さんも私がどう答えるのかわかっていたみたいで、力強く頷いてくれた。


「困ったことがあれば力になるから」


そう言ってくれた2人に頭を下げ、私は理事長室を後にした。



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