雪に咲く華

忍side

「意外でした」


葵が出て行ったのを確認して雅輝が言う。


「何が?」

「どうして姿を消したのか聞くと思ってましたから。忍さん、気にしてませんでした?」

「まあそうなんだけど。大体予想着くだろ?あいつの性格から考えれば」

「...そうですね」


葵は昔から自分のことにさほど頓着しない。そのくせ、他人のことには人一倍必死になるから、見ているこっちとしては気が気じゃない。この件に関しては特に。


「葵は全部抱え込んで、一人でケリをつけるつもりだ。あいつが責任を感じることなんてないのにな」

「...」


きっと葵は無茶をする。1年半前のあの時のようにな。


「葵にも言ったけど、俺たちが力になってやろう。今度こそ」


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