雪に咲く華
“双龍は俺たちの大事な居場所だから”
そうこぼす信乃と一緒にみんなの方をじっと見つめた。
彼らの姿はあの頃と重なり、温かくも胸にぽっかり穴が開いたような、そんな気分にさせられる。
でも今と昔じゃ立場も事情も違いすぎる。手を出せることだってそう多くはないだろう。それでも今はここで平和を甘受していたいとおもうのは、きっと私の我が儘だ。
みんなでご飯を食べた後、今日は早めに解散しようということになり、私はいつものように真に家まで送ってもらった。お風呂にも入って早々に寝支度を整えたはいいものの、全く眠れる気配がない。
いつもなら双龍のみんなに止められているし絶対にしないのだが、ちょっとだけ、そう思って外に出たのだ。
それがいけなかった。
家の周りをふらふら歩いていると不意に人の気配を感じた。目の前の暗闇の中。そこからそいつはいきなり現れた。
「こんばんはー。久しぶりだね、葵」