追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 寝ぼけた頭で周囲を見回せば、すぐにここが、四カ月を過ごしてすっかり住み慣れたマイベリー村の借家の寝室だと気がついた。
「……なんだ、夢か」
 ズキズキと痛む頭をさすりながら特大のため息をこぼす私は、アイリーン・オークウッド。前世は日本人で、今、夢で見ていたゲーム『桃色ワンダーランド』の世界への転生者だ。
 もし、神様が転生前に一言聞いてくれたなら、迷わずヒロインへの転生を希望していたのだが、実際にはそんなチャンスなどは無く、気づいた時には悪役令嬢として転生していた。神様の采配とは、なかなかに世知辛い。
「だけど、なかなかどうして。シナリオ通り学園を追放後された後は、のんびりとスローライフを満喫中で、なかなか悪くないんだな~、これが」
 私はトンッとベッドを下りると、シャッとカーテンを引き開ける。窓越しに快晴の空をあおいで、ひとつ大きく伸びをした。すると、見上げた雲ひとつない青空に、ポポンッとモフモフの幻影が浮かぶ。
 もう一週間、連日で続くモフモフ天国を思えば、自ずと頬が緩んだ。
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