追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ……おい、アイリーン? その「いつもの」は、俺だけの特別メニューだぞ?
 それを一体、どうするつもりだ!?
「昨日は本当にありがとう、黒ちゃん。これ、とっても美味しいのよ。さぁ、めしあがれ」
 アイリーンは、奴の前に俺だけの特別メニュー「いつもの」をトンッと置き、奴の頭頂をモフモフと撫でる。
 奴はアイリーンの手に、スリスリと頭を寄せる。更に、俺にチラッと目線を寄越すと、これ見よがしにアイリーンの指を舐めた――!
 あ、あ、あぁぁああああ――!!
 俺の心は粉々になり、灰のようにサラサラと散っていく。ベチョッと地面に突っ伏して、俺は泣いた。
「あー! 今日も白いのがいるぞ!」
「こいつがターロウの言ってた奴か! こいつ、俺の布団よりでっかいじゃん!」
「尾っぽも、ぶっといぞー!」
 ……イテッ!
 後ろに賑やかな気配を感じたと思ったら、突然むんずと尾っぽを握られて、痛みに跳ねた。
「わぁ~! すげえモッコモコだぜ!」
 グッ! そうかと思えば、今度はドフッと背中に跳び乗ってこられ、苦しさに息が詰まった。
「あー! ズルいぞ、俺だって乗りたいよ!」
「大丈夫! こいつでかいから、皆で乗れるぞ!」
 泣きっ面に蜂、ならぬ、泣きっ面に悪戯坊主の襲来を受け、俺はカフェの前の地面に沈んだ。

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