追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
いざ、ラファーダ王国へ

 クロフが『クロフ=黒ちゃん=ラファーダ王国の王族』という、やっかいな方程式を置き土産に村を去り、一週間が経った。
 五カ月ほど続いた苺のシーズンが、いよいよ終わろうとしていた。
「店はいったん閉めようかと思うの。趣味も兼ねて、これまではシーズンオフも開けていたんだけれど、正直、維持費や経費を差し引くと、ほとんど売り上げは出ていなかったから」
 私とシーラさんは閉店後のカフェで、今後について協議していた。
「そうだったんですね。シーズンオフの閉店は残念ですけど、現実問題、売り上げが出ないのでは継続は難しいですよね……」
「化けネコカフェを全面にすりゃ、客足は落ちねえだろうけどな」
 隣のテーブルで協議を見守っていたルークがニヤリと笑ってこぼせば、床で丸まっていたプリンスが、ピクリと耳を揺らした。
「ここまでくると、次の苺シーズンまでその姿でやりきれるんじゃねーか? な、ネコちゃん」
「ガウゥッ!」
 なおも言葉を続けるルークに、プリンスは不満げに嘶きながら、肉球パンチで反論した。
「イッテ!」
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