追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
 ルークは脇腹を抑えて悶絶した。少し気の毒に思ったが、次の苺シーズンまでモフモフのままだなんて、縁起でもないことを言うルークも悪い。
「白ちゃん、大丈夫よ。やっぱり、お店は今週いっぱいで閉めることにするわ。だから今後は、ルークやカーゴとおうちでゆっくり過ごしてちょうだい。この二週間、お客様のお相手をどうもありがとう」
 シーラさんは、プリンスの背中を優しく撫でながら告げる。
「さぁ、そういうことだからアイリーン。あと三日、しっかりお店をやりきりましょう。私も多く、こっちに顔を出させてもらうわ」
「はい! あと三日、精一杯やり切ります」
 後ろ髪引かれる思いはあったが、シーラさんの決めたシーズンオフの閉店が、最良の選択なのだと感じた。
「ガウッ!」
「……残り三日間、ネコちゃんも張り切って接客にあたるそうだぜ」
「まぁ~、白ちゃんは本当にお利口さんね~」
 プリンスの嘶きを即時通訳してみせるルークに、私は内心で舌を巻いた。

 ――カラン、カラン。
 シーラさんが帰ってすぐに、店内にお客様の来店を報せるベルが鳴る。
「おいおい、この時間からの来訪たぁ珍しいな」
< 50 / 216 >

この作品をシェア

pagetop