かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 ふと、目にしたものに見入ってしまった。
 この手――かつての恋人同士のようだった、わずか10歳で亡くなってしまった祐太の、手を、いつも繋いでいた。
 そして、かつての恋人同士のようだった、森村瞬先輩との、瞬に、触れていた手。
 ずっと、誰かのものだった、私の手。
 だけど、今は誰のものではない。
 だから、今は。
 この手で、純を抱きしめたい。
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