かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「曲は作るけど、歌詞ができなくて。専ら柚実に書いてもらってる」
 ここでやっと、香花ちゃんは私に目を向けた。
 ちょっと嫉妬の念が感じられた。
「試しに書かせたら、それがマッチしたんだよな。なんかシンパシー感じた、みたいなさ」
 私は目を伏せて、手許のお弁当を見遣る。
 今日はウィンナーと卵焼きなどの、適当弁当だ。
 だけどお弁当って、何を入れてもおいしそうに見えるから不思議だ。
 空腹を満たしてくれる、魔法の箱。
 でも今は、それどころじゃない。
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