かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 いや、勘違いをしているという考えが、私の勘違いかもしれないけれど。
 いくら大人しい香花ちゃんだって、恋のひとつやふたつ、経験しているかもしれないし。
 私だって、去年は彼氏のようなひとがいた。
 キスも、それ以上も、もう済ませている。
 ひとって、どんな過去があるのか解らないもんだ。
「いや、今日は柚実に用事があるんだ」
 ぴんと立てたままの耳に、そんな純の言葉が舞い込んできた。
「……そう……」
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