かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 香花ちゃんの声は消え入りそうだった。
「柚実」
 純が私の許へとやってきた。
 私は机に頬杖をつき、さて今日の放課後はどうしようかと考えあぐねていたところだ。
「……なに、私、純と約束してたっけ?」
「聞いてたのか。最近、ふたりで話してないよな。たまには話そう」
 相変わらずの仏頂面だけれども、そんな嬉しいセリフをサラリと云ってくれる。
「うん。喜んで!」
 思わず私は立ち上がっていた。
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