かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 そしてやってきたのは、屋上へ続く階段。
 初めて純と出会ったのも、ここだった。
 去年、授業をサボって、ここでバンド仲間の瞬と一緒にセッションをしていたのだ。
 まさか、1年足らずで私は瞬と別れ、そして純に好意を持つようになるとは、あの頃の私は思っていなかった。
 時の流れとは、奇妙で恐ろしく、面白いものだと思う。
 来年の私は、誰の傍にいるのだろう。
「香花ちゃんって、純のことが好きじゃん」
 私は何の前置きもなしに、切り出した。
 肩を並べて座っている私たち。
< 146 / 400 >

この作品をシェア

pagetop