かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 純はそう言うと、しばし黙り込む。
 放課後の無法地帯の喧騒が、遠くで聞こえる。 
 ああ、私、純とふたりで下界からは遠いところにいる、などとまた嬉しくなったりした。
 隣の純は何も応えない。
 真横にいるから、表情も覗えない――きっと、いつものポーカーフェイスは崩していないのだろうきっと。
「あのさ、柚実」
「なあに?」
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