かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
そして、冴えない1日を過ごして、やっと放課後になった。
 ずっと避けてきたのに、純の方から私の許へと姿を現した。
「できた?」
 朝のことは何もなかったかのように、彼はいつもの口調で話しかけてきたのだ。
「書いてない」
 私はそっけなく応える。
「……書けないんじゃなくて?」
 こいつは、私が授業中に幾度か散文を書こうとしていたのを、どこからか見ていたのか。
 それで、私が書こうとして、書けなかったのをずばり言い当てたのか?
 なんにしろ、癪だった。
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