かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
悪くはない。でも、ときめいたりうっとりとしたりってのは、私、ないなあ。
「……何見つめてんの」
「別に何も感じませんでした」
 先生はまた、軽い笑いを立てた。
 やがて、車は私の家の近くへと差し掛かった。
 先生にそのことを告げると、頷いた。
「明日から、また待ってるから」
「へ? 夏休みでしょう」
「は? オマエ物理赤点で、補講対象者だろ」
 ――すっかり忘れていた。
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