かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 からからっとして、まるで夏の風のようだ。
「だろ?」
 夏――瞬は高校生最期の夏だ。
 今頃バンド練習でも勤しんでるんだろうな。
 そんな思いに、ちらっと純の影を感じ、私はあたまを振った。
「あ、まさか。私を水着にさせて、その姿を拝もうっていうんじゃ……」
 わざと明るく言った。
 あたまから、あいつのことを追い出すかのように。
「その手があったか……」
 先生は心底残念そうに息を吐く。
「持ってきてないからね」
「途中で買おうか」
「厭だ。先生もビキニパンツになる?」
「厭だ」
 私たちの笑い声が、車内に混ざり合う――。
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