かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 折角、海に来て開放感満載なのに、どうしてやっぱり純のことを考えてしまうのだろう。
 未練、だよなぁ。
 祐太のことと一緒で、昔のことばかり引きずってしまっている。
 こんな自分、打破しなければ――。
 ぽつっ、と脳天に冷たいものが当たった。
 それはひと雫、ふた雫となり――。
 途端に、ザァァという音に変わる。
「雨!?」
 遠くの方で、ゴロゴロゴロ――と何やら不吉な音がする。
 見上げれば、さっきまであんなにも晴れていた空が、今は厚い雲で覆われている。
 先生は横になり、眠りこけていた。
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