かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「うん……」
 私は先生に身体を預けた。
 昔むかし、カミナリが鳴る時には、きまって祐太と一緒に毛布に包っていたことを思い出す。
 ふたりともカミナリが怖くて、でもふたりでいると安心して、カミナリが通って行くのを遣り過ごしていた。
 祐太は、幼馴染で私の幼い恋人だった。
 それに比べて、高野先生はまるで、お兄ちゃんみたいだ。
 お父さんでも、彼氏でもなく、お兄ちゃん――。
 そんな兄の胸の中で、私はいつしか、すやすやと眠ってしまっていた――。
< 265 / 400 >

この作品をシェア

pagetop