かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 曲が決まらないのは、私のせいか。
 私が歌詞を書かなかったから? ――なんて考えるのはおこがましいか。
 でも声が出ないなんて、純どうしちゃったの?
「一緒に行かない?」
 再度、天然パーマは言ってきた。
「しっかりしろ!」
 私は大きく声を出した。
 そこにいた輩が、びっくりしたような目で私を見る。
「――って、伝えてください。メンバー全員に」
 そう言い残すと、私は思いを振り切るかのようにその場から去った。
< 277 / 400 >

この作品をシェア

pagetop