かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「は? 私?」
「うん。瞬のカノジョでしょ」
 なんて古い情報だ――。
 瞬は、周り対して何も言っていないようだった。 
「別に用はないので」
「あいつらのバンド、不調みたいだぜ」
「えっ?」
 私は思わず声を上げてしまう。
「彼女なのに知らないのか? 何か曲が決まらないとか、ボーカルが不調だとかで」
 純が――?
「不調って?」
「声が出ないみたいだ」
 ボーカルの……純の、声が出ないだなんて。
 そりゃ、大変だ。
 私の中にじわじわと不安が滲む。
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