かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「柚実さん」
 いざお昼、の時間になって、私は思い出した慣習で、香花ちゃんの許へ歩み寄った。
 ふと、顔を上げた彼女は、真っ黒く日焼けしていた。
 鼻のあたまが、かさかさと破けている。
 私がまじまじと彼女を見つめていたせいか、彼女はそれに気づく。
「あ、あの……。夏休みは毎日、海に行ってたから……黒くなっちゃった」
 照れたように、彼女は額を掻く。そこからも、ぽろぽろと皮膚が剥がれる。
「どうして、海に?」
「あの、声かけられて……。中学の友だちと、海水浴に行った時」
「ナンパ、されたの?」
 また出た“ナンパ”。
 高野先生にナンパされたとか? まさか!
 彼女は黒い肌を、赤く染める。
「ナンパ……そう言ういい方もできるかな。そこの、サーファーをしているひとと……もごもご」
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