かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「そうだな。黒沢にとって、高校生の恋愛に相応しいのは、俺じゃなくてオマエだな」
「何だその言い草。莫迦にしたいなら、しておけ」
歌う時のガラスボイスとはうってかわって、純は聞いたこともないドスのきいた声を出す。
「行くぞ」
純は、私の手をぐいっと引いたかと思うと、ずかずかと手を引いて、私を連れて行こうとする。
そんな純に引かれた右手。そこを、先生が私の左腕を引く。
「ごめん。そんなつもりじゃなかった。俺は、黒沢に、本気だった」
「――ありがと」
「何だその言い草。莫迦にしたいなら、しておけ」
歌う時のガラスボイスとはうってかわって、純は聞いたこともないドスのきいた声を出す。
「行くぞ」
純は、私の手をぐいっと引いたかと思うと、ずかずかと手を引いて、私を連れて行こうとする。
そんな純に引かれた右手。そこを、先生が私の左腕を引く。
「ごめん。そんなつもりじゃなかった。俺は、黒沢に、本気だった」
「――ありがと」