かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 そして大きく伸びをして、上体を後ろに倒した。
「あ~あ、怖いなぁ、物理」
 先生が私の腕を引いて、体勢を戻させた。
「まあ、そう言うなって」
 放課後の職員室は気怠い。
 部活の指導にあたっている先生は不在で、休み時間にくるピリピリとした緊張感は薄れている。
 それに暖房が利きすぎていて、眠くなる。
 私は欠伸を堪えた。
 先生の目が真剣になって、私を見据えたからだ。
 しばらく目を合わせたままでいると、高野先生はふー、と息をついた。
 そして、先程私が放り投げた物理の教科書をめくり、私に見せた。
< 372 / 400 >

この作品をシェア

pagetop