かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「素敵」
「ありがとう」
 そう言い、純はその冷たい手で私の涙を拭ってくれる。
「歌詞、つけるね。とてもいいメロディだから。あ、でもいいメロディだからつけない方がいいか……」
「つけてよ。是非。柚実先生」
「うん……。純、大好き」
「うん」
 純は私の気持ちを受け止めてくれる。
 だけど、彼からの発信はない。
 そうすると彼は、おもむろにスタジオの隅に置かれていたペーパーバックを手にした。
「うまく焼けたんだ」
 そう言うと、取り出したのは白い箱。
 中敷きをスライドさせると、出てきたのは筒状のチョコケーキだった。
「ブッシュ・ド・ノエルっていうの? これ?」
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