かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 久しぶりに会う瞬は、軽やかに笑って見せ、ブレザーのボタンも、Yシャツのボタンまで全部取られた、とお手上げのジェスチャーをして見せる。
「相変わらずモテるわねぇ」
 私は嘆息を漏らす。
 彼と接するのは久しぶりなくせ、いつもと同じ私が出た。
「まあな」
 東京の大学の政経学部に希望通り進路が決まっている、そう純伝いに聞いていた。
「柚実」
「なに」
 これで本当に最後かと思うと、涙が出そうだった。
 だけど、堪えた。
 私と瞬の関係の、名前は何もない。
 つきあっていたようなひと、たったそれだけだ。
「やる」
 そう言うと瞬は、筒から卒業証書を出した。
 出して、半分をびりびりと引き千切った。
「俺の、オマエへの卒業の証書」
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